さて、今回の投稿でこのお話も「その3、完結」となります。「その2」の時と同じく 今回も以前のストーリーをお忘れの方々と今回から初めてお読みいただく皆様にはどうぞ過去2回分のストーリーをお読みの上 今回の「その3、完結」をお読みください。(2008年11月6日付け
「その1」、2009年1月31日付け
「その2」)
盗られた品々がすべて返還され、関係警官に改めて御礼を述べて警察署を出たときには 既にとっぷりと日が暮れていました。ゴールデンゲートブリッジ近辺からサンフランシスコのダウンタウンまでは高速道路を利用して30分ほど、リンカーンコンチネンタルというフォード社製の大型車の右後ろウィンドーが割られているのでその30分というもの車内は戦争状態でした、敵は大きく開かれたままの窓から吹き込んでくる ”強風”です。
乗員は運転手を含めて4人、各窓側に一人ずつ座した状態で恐る恐る高速道路に進入しました。時速がアップされるととたんに車内中を強風が吹きまくり座席には何一つ置いておくことができない状態となりました。確か制限時速60マイル、ミニマムスピード40マイルだったと記憶します、車を低速レーンで走らせるもののそれでも40マイルといえばキロにして64キロのスピード、かなりの風圧が車を襲います。
最初のうちは ガラスの無い窓に背広などを当てて防風対策をとろうとしたものの背広など簡単に車内に押し返されてしまい どうにも吹き込む風を防ぎようがありません。結局、車内を吹きまくる風を少しでも穏やかにさせる手段として 残り3つの窓もほぼ全開にするのが一番とわかり、それ以後の高速道路進行中の寒かったことと言ったらうまい表現が見つからないないほどでした。時は1996年10月7日、サンフランシスコは陽が沈むと日中の暖かさとは打って変わってとても冷え込むのです。
まずはレンタカー屋に到着するまでの20−30分間、4人は誰も一言もしゃべらないままの状態でブルブル震えていました。やっとの思いでレンタカー屋に着くと事務的に事故届けフォームに記入を求められ ”保険を掛けておいてよかったわね、オールセット(すべて終了)よ”と10分ほどで代わりのコンチネンタルを貸してくれました。事前に電話連絡を入れておいたこともそこでの手続きがスムーズ(短時間)に進んだ一因だったと思います。
「さあて これでやっと普通の状態に戻れたねえ」と我々4人はまずホテルに帰還、全員のルームキーが改めて発行されたカードキーになっていて カウンターのホテルマンも ”結果が良くてよかったね”と大きな笑顔をくれました。皆、寒さに震えていたので手短にシャワーを浴びることにして20分後にロビーに集合、フロントデスクで 一番近い日本食屋または中華料理屋を聞いたところ幸いにもワンブロックのところに日系人が経営している中華料理屋があるとのこと、早速空腹をその店に運び何はともあれ“乾杯!”、皆な異口同音に ”全く珍しい経験をしたものだ、アメリカで盗難事故にあって 盗品がすべて戻ってくるなんて…!”と笑顔笑顔でおおはしゃぎ…。
店主と名乗る日系の(おばあさんと表現したほうがよさそうな)おばさんが出てきて ”皆さん、お祝い事ですか、、、あれまあそんなお話なの、、、それじゃこのあとお歌でも歌って更なるお祝いをしたらどう、、、” ”いいねえ、おばさんどこか知ってるところある?” と聞くと、待ってましたとばかりに ”はいはい、ここからどうぞ、、、”といって そのレストランの端っこのドアーをオープン。
なんとそこにはカラオケが用意されていて ソファーも10人くらい座れるものがおかれてあったのです。“おばさん、なんとも用意がいいですねえ”と聞いてみると“そちらのメインドアを出てごらん、そっちが外からの正式な入り口でね、あたしが中華料理屋とカラオケ屋の両方を経営してるのさ”との回答。 なんとも商魂たくましいおばさんの店に入ってしまったものだ と4人は思うも、ホテルには近いし 食べかけの料理も運んでくれると言うので“まっ、いいか、”とのことで そのころには頭から今日の事件のことなどが薄れていて 皆で古いカラオケブックから歌える歌を探しては歌いあったのもでした。
以上、とても長く綴ってしまいましたが、ということで1本のボールペンにもこんなに大きなエピソードがそのバックストーリーとして存在しているのです。先日このボールペンをある場所に忘れてきてしまいました。帰宅後大慌てでその場所に電話したところ 幸運にも「はい、ちゃんとお預かり置きしていますよ」との返事、ホッといたしました。無くしたかなと思ったのは初めてでしたが その時改めて このペンの大事さをしみじみと感じた次第です。「思い出の品」、皆さんにも色々あることと思いますが お仲間でお集まりのときなど 「わたしの思い出の品とそのエピソード」などと題して 皆で話し合うのも一興かも知れませんね、おすすめします。
それでは以上をもちまして 「サンフランシスコの思い出」完結であります。長いストーリーをお読み下さった皆様、ありがとうございました。
posted by すくらむ21 at 11:37| 神奈川

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